デブとスーツ

 

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はじめて買ったスーツは大学の入学式用のものだ。

当時の体重は100寸前まであったと思う。

なんせ高校のブレザーのボタンが締められなくなってしまうほどだったから。

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スーツの量販店に行くと採寸の作業がある。

その作業がとても嫌だった。

デブであることが数字として暴かれてしまう。

そしてそれが赤の他人に知られてしまう。

なんだがとても恥ずかしい気持ちにさせられて嫌でしかたなかった。

採寸作業が終われば、私が着れるスーツが提示される。

そのスーツはかなり大きめのスーツ。そりゃあ、そうだろうな。

 

試着したスーツ姿を鏡で見る。とても醜い。

サイズ感が全くあってなく野暮ったい。ダボっとした感じがダサい。

でもこれしか着用できるものがない。

 そして入学式当日

会場に行けば上手にスーツを着こなした大学生たちが大勢いる。なんだコレはと慄く。

そして、彼らに馬鹿にされたような蔑んだ目でみられているよな気分に私はさせられた。

私のスーツの思い出は最悪なものだ。

 ◆

私は4月に働き始めます。

そのため、少し痩せたので4年前にかった醜いスーツを捨てジャストサイズのスーツを買いに行くことにした。

4年ぶりの採寸。

痩せたといっても、まだデブの部類に入る。

採寸が終了して私のサイズに合うスーツを店員が紹介してくれた。

ドキドキしながら試着してみると、主観ではあるがなかなか良い。

サイズ感ばっちりで若干引き締まって見える。

カッコイイではないか。

痩せているというのはいいものだと実感した。

周りからデブであることについて侮蔑的な視線を感じない、もしくはそのような被害妄想をしなくてすむ。

ファッションも肯定的に捉えられるようになり、顔に明るさが宿る。背筋も伸びて自信が漲っている。

 

デブだと悲壮感・ネガティブさが顔や姿勢、身体に滲み出て

醜い人間になっていることが多い。私がそうであったように。

またスーツにはダイエット効果があった。

よりスーツの似合う男になりたい(笑)と想いそのためにもっとダイエットを励もうと想う。

そんな効果がスーツにあった。

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